一般整形外科
寝違えた首が痛い、動かない、スポーツ後に関節が痛むなど、痛みに関する治療といえば整形外科というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、厳密にいうのであれば整形外科は複数のジャンルに分類されており、ジャンルごとに対応できる症状や治療方法が異なるのです。
こちらの記事では、一般整形外科の診療内容と、一般整形外科で対応可能な病気、おすすめの人についてご紹介しています。

一般整形外科の診療内容
一般整形外科の診療範囲は多岐に渡り、骨、筋肉、関節、神経など、運動をつかさどるすべての器官が診療の対象となります。
それではまず、一般整形外科における診療内容から見ていきましょう。
各種検査
一般整形外科では、患部に痛みや内出血、変形などが見られた場合では、検査で患部の状態を調べてから、適切な方法で処置を行います。
また、検査には「レントゲン検査」「CTスキャン」「MRI」「血液検査」「骨密度検査」などがあります。
レントゲン検査
レントゲン検査はX戦検査とも呼ばれる検査で、患部にX線(放射線)を当てて骨などの体内組織を撮影します。
この検査では骨の異常の有無や腫瘍の有無、関節の変形、骨粗しょう症の有無などについて調べることができます。
なお、X戦は人体に悪影響を及ぼす物質とされていますが、通常検査においては、レントゲン検査による健康被害は低いとされています。
ただし、妊娠初期(15週まで)の場合では胎児に与える悪影響が懸念されるため、検査を受けることができません。
CTスキャン
CTスキャンもX選を使用した検査ですが、レントゲン検査が平面のみの画像を確認できるのに対し、CTスキャンでは横断面図(輪切りのイメージ)を確認できるという違いがあります。
また、CTスキャンでは、頭部のみ、胸部のみというように部分的な撮影が可能で、小さな病変についてもより詳しく調べることができます。
MRI
MRIとは核磁気共鳴画像法という検査で、磁器と電波によって体内の横断面図を撮影できます。
MRIでは、レントゲン検査やCTスキャンでは確認できない軟部組織の細部まで撮影できるため、より精密な結果を求められる際に用いる検査だと考えておけば良いでしょう。
血液検査
整形外科における血液検査では、貧血や感染症の有無、骨粗しょう症の有無、関節リウマチの有無などについて調べることができます。
また、薬の投与による治療の結果や副作用についても血液検査で調べることが可能です。
骨密度検査
骨密度検査とは骨の量を調べる検査で、検査結果は%で表示されます。
たとえば、骨密度100%という場合では、骨の量が理想的と判断でき、70%以下(骨折経験なしの場合)では骨粗しょう症と診断されます。
骨粗しょう症は加齢で発症しやすい骨の病気で、その原因は加齢による骨そのものの減少が大半だといわれています。
ただし、過度な食事制限や偏食などで骨を形成する成分の摂取量が極端に少ない場合では、若い年代でも発症のリスクがあります。
注射
整形外科では、痛みの緩和目的で行う神経ブロック注射や筋肉の痛みを緩和する筋膜リリース注射、膝関節の痛みを緩和する関節注射(ヒアルロン酸注射)などがあります。
なお、ヒアルロン酸注射では定期的に注射を受けることで効果を維持できます。
縫合
外傷により傷口が開いてしまった場合では、縫合で処置をすることがあり、溶けない糸を用いた場合では、数日後の抜糸が必要になります。
なお、整形外科における縫合処置は浅い傷に対応できるもので、深い傷で手術が必要な場合では外科手術になる可能性があります。
薬の処方
整形外科では、内服による消炎鎮痛剤や、外用薬を処方することがあります。
一般整形外科での治療が可能な症状・病気
一般整形外科で治療が可能な症状や病気は以下の通りです。
なお、より専門的な治療が必要になる場合では、専門性が高い整形外科での治療となる可能性があります。
外傷
外傷とは、外部から何らかの刺激を受けることで、皮膚や内部組織がダメージを負った状態をいいます。
また、外傷にはさまざまな種類がありますが、大まかに以下のように分類されています。
骨折、脱臼
骨折は外部から何らかの力が加わったり骨粗しょう症などによって骨が折れた利した状態状態、脱臼とは骨のつなぎ目の関節が本来の位置からずれてしまっている状態をいいます。
また、骨折はギプス固定や外用薬による消炎、脱臼は徒手整復や外用薬による消炎が一般的な治療方法となります。
打撲、捻挫
打撲は患部を打ち付けることで起こる外傷、捻挫は関節をひねることで関節組織を損傷する怪我をいいます。
これらの症状は、消炎鎮痛剤の服用や外用薬の塗布による治療が一般的です。
擦り傷や切り傷
日常生活の中のちょっとした不注意で起こりやすい怪我、それは擦り傷や切り傷です。
これらの怪我はご自身で止血したり軟膏を使用したりすることで悪化を防げる場合があります。
一方、スポーツなどでできた擦り傷や切り傷は見た目以上に傷が深い可能性があり、場合によって縫合による処置が必要になることもあります。
肩こりや腰痛
肩こりや腰痛は放置することで慢性化する可能性がありますので、痛みが続いていると感じたのなら、なるべく早急に一般整形外科を訪れて治療を開始すると良いでしょう。
なお、肩こりや腰痛は温熱治療機などによる物理療法や薬物療法などで改善を目指せます。
膝の痛み
膝の痛みがどんどん悪化すると、歩行が困難になったり関節に変形が見られたりすることがあります。
この状態は変形性膝関節症の可能性があり、放置しているとどんどん悪化するリスクが高まります。
そしてそうならないためには、運動療法やヒアルロン酸による注射療法などで悪化を食い止めることが大切です。
神経痛
神経痛とは、坐骨神経や肋間神経、三叉神経が何らかの原因によって刺激を受けることで起こる痛みで、それぞれに坐骨神経痛、肋間神経痛、三叉神経痛と呼ばれています。
これらの神経痛は高齢者に多く見られ、加齢に伴う脊柱管の変形などが主な原因として挙げられています。
なお、軽度の神経痛であれば、ご自身でストレッチを行ったり湯船で体を温めたりして様子を見ることがありますが、症状が進行しているようであれば、一般整形外科での神経ブロック注射などで改善を目指す方法がおすすめできるでしょう。
骨粗しょう症
骨密度を測定して骨粗しょう症が判明した場合では、骨吸収抑制薬や骨形成促進薬などによる薬物療法で改善を目指すことになります。
また、骨粗しょう症の改善には適度な運動を取り入れたり、食事療法を取り入れたりする必要がありますので、薬物療法とともに、運動療法や食事療法の指導を受けながら改善を目指します。
リウマチ
リウマチは、関節部分に炎症を伴う痛みやこわばりが起こり、悪化すると関節が変形したり脱臼したりすることがある病気です。
また、リウマチはレベルによって治療方法が異なりますが、薬物療法や手術療法、リハビリテーションで改善を目指すことが多いです。
一般整形外科の受診がおすすめの人
一般整形外科の受診は以下に該当化する方におすすめです。
- ぶつけた場所が痛い、変形している
- 傷口が開いている
- 肩こりや腰痛が辛い
- 膝関節が痛い、変形している
- 手指の関節が痛い、こわばりがある
- 最近転倒することが多くなった
これらのいずれかの症状に心当たりがある場合には、ひとまず一般整形外科を受診して診断を受け、必要に応じて適切な治療や指導を受けると良いでしょう。