ヘルニアとは
ヘルニアというと椎間板ヘルニアがよく知られていますが、椎間板ヘルニアは発症場所によって呼び名が異なるのです。また、ヘルニアには”脱腸”と呼ばれる種類もありますが、このタイプのヘルニアは椎間板ヘルニアとは異なり、外科または消化器外科の受診となります。こちらの記事では、整形外科で受けられるヘルニア改善の診療内容と、治療可能な症状と病気、ヘルニア改善の受診がおすすめの人についてご紹介していますので、背中や腰、首の痛みが取れないという方は、ぜひ参考にしてください。

ヘルニア改善の診療内容
椎間板とは、脊椎にあるクッション材を果たす役割を果たす組織で、この組織が何らかの理由によって変性し、内部の髄膜が飛び出す病気です。
椎間板の異常によって髄膜が飛び出すと神経が圧迫され、患部には激痛が走ります。
しかし、症状のレベルによっては次第に痛みが和らぎ、自然治癒するケースもあるのです。
とはいえ、椎間板ヘルニアは放置することで悪化するリスクがある病気ですので、発症の疑いがある場合には、ひとまず整形外科を受診し、診断と処置を受けておくことが望ましいといえるでしょう。
それではまず、ヘルニア改善の診療内容からご紹介していきます。
MRI検査
骨に異常がある場合では、レントゲン検査で患部を撮影して以上の有無を確認します。
一方軟骨である椎間板はレントゲンには映らず以上の有無を確認できませんので、MRI検査で異常の有無を確認することになります。
つまり、レントゲン検査で異常が認められなかったのにも関わらず激痛が治まらないときには、MRI検査で異常の有無を確認する方法がおすすめだということです。
保存療法
保存療法とは、手術をせずに椎間板ヘルニアの改善を目指す治療方法で、コルセットでの固定、牽引療法、温熱療法などで対応します。
ただし、保存療法は軽度の椎間板ヘルニアに対応できる治療方法で、症状が進行している場合では手術療法での対応となる場合があります。
なお、保存療法には以下の治療方法もあります。
薬物療法
薬物療法とは、内服薬や外用薬を用いる方法で、椎間板ヘルニアに伴う痛みを和らげる対策として用いられます。つまり、椎間板ヘルニアの完治を目指せる方法ではないということです。
また、薬物療法は継続が必要な治療方法ですので、これらの方法で治療を開始したら、長期に渡って根気よく継続することが大切です。
神経ブロック注射
神経ブロック注射も薬物療法と同様に、椎間板ヘルニアの痛みを緩和する対策として用いられる方法です。
神経ブロック注射のメリットは即効性を期待できるという点にありますが、長期的な効果は期待できないため、週1回~2週に1回を目安として治療を受け続ける必要があります。
また、神経ブロック注射で改善が見られないときには、手術も視野に入れて治療を継続すると良いでしょう。
手術療法
保存療法で痛みが治まらない場合や生活に支障が出ている場合などでは、手術療法での対応となる場合があります。
なお、手術の種類については「後方椎間板切除術」「椎間固定術」などがあり、医師で適切だと判断した方法での対応となります。
ヘルニア改善の診療で治療が可能な症状・病気
ヘルニア改善の診療では、椎間板ヘルニアのほか、頚椎症性脊椎症、頚椎性筋萎縮症、胸椎性脊髄症、腰部脊椎勘狭窄症の治療も受けられます。
それでは、それぞれについてご紹介していきましょう。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアというと背骨のイメージが強いかもしれません。しかし、椎間板は首や腰など、背骨とつながっている場所であれば、どの部位でも発症する可能性がある病気です。
また、椎間板ヘルニアのいちばんの原因はスポーツによる椎間板への強い負担ですが、遺伝や普段の姿勢の癖、長時間に及ぶ自動車の運転、加齢、喫煙習慣なども原因になる可能性があります。
また、椎間板ヘルニアの症状の現れ方には個人差がありますので、症状のレベルや痛みの度合いによって適切と思われる方法を選択し、治療を開始することになります。
頚椎症性脊椎症
頚椎症性脊椎症とは、頚椎が変形することで脊椎が圧迫され、痛みや手足のしびれ、運動機能障害などの症状が現れやすくなる病気です。
頚椎症性脊椎症は椎間板ヘルニアがきっかけとなって発症することがあるほか、関節リウマチや外傷などによって引き起こされることもあります。
いずれにしても、放置していて自然治癒するような病気ではありませんので、早めに整形外科を受診して治療を開始しておくことが望ましいでしょう。
頚椎性筋萎縮症
頚椎性筋萎縮症とは、頚椎の椎間板が変形することで神経が圧迫され、それによって上肢の筋肉が萎縮して動作が不自由になる病気です。
この病気は、加齢による椎間板の変形が原因で発症すると考えられています。
頚椎性筋萎縮症を発症すると方や腕の筋肉に力を入れづらくなることで、腕を上げられない、ものを上手くつかめないなど、生活に支障をきたす症状が現れることがあります。
この病気も自然治癒することがありませんので、早めの整形外科受診で対策すると良いでしょう。
胸椎性脊髄症
胸椎性脊髄症とは、背骨にある胸椎が変形することで起こる神経障害で、椎間板や靭帯の変形が発症の直接原因となります。
この病気を破擦証すると、下肢の痺れや脱力、体幹部の痛み、歩行困難などの症状が現れやすくなります。
また、症状が進行すると、頻尿や尿失禁などの尿トラブルが起こりやすくなることがあります。
胸椎性脊髄症は加齢のほか、靭帯骨化症という病気が引き金となって発症することもあります。
特に別の病気が原因で発症している場合では、その病気の悪化を防ぐためにも、早急に整形外科を受診して、症状を食い止めておくことが大切です。
ヘルニア改善の診療の受診がおすすめの人
椎間板ヘルニアおよびそれに付随する症状や病気の疑いがある方は、ひとまず整形外科を受診して、異常の有無を確認しておくと良いでしょう。
なお、以下でご紹介する症状に心当たりがある方は、なるべく早めに整形外科を受診することをおすすめします。
- 激しいスポーツ後に背中に強い痛みが出るようになった
- お尻から下肢にかけて強い痛みがある
- 手足や下肢にしびれがある
- 上肢に力が入らない、ものをつかみにくい、落とす
- 頚椎や胸椎に痛みがある
- 頻尿、尿失禁、尿意がわからないなどの尿トラブルが起こっている
- 日常的な動作の中でお尻や腰に強い痛みが出る
- 首を後ろに反らせない、動かしにくい
これらの症状が現れたとしても、それが即座に椎間板ヘルニアやその他の病気だと決めつけることはできません。
しかし、ご紹介した症状は、いずれも健康な状態では現れにくいため、どれかひとつでも症状が現れた時点で体の異変を疑わなくてはなりません。
また、どの症状を見ても生活に支障をきたす直接原因になりますので、快適な生活を送るという意味でも、早めの対処が必要でしょう。
椎間板ヘルニアやそれに付随する病気かどうかわからないというときには、整形外科を受診して検査を受け、異常が見られたときには直ちに治療を開始しましょう。
椎間板ヘルニアは自然治癒することもありますが、症状が進行している場合では自然治癒が難しくなります。
そしてそうなる前の対策として行っておきたいのが、整形外科を受診し、適切な治療を開始しておくということです。